(福岡県春日市)
広大な敷地の中には昔からのマキノキやツゲなど数種の樹木が既にあり、庭の管理もきちんとされているお宅でした。しかし奥さまによれば、「広さゆえに庭の草取りに追われ、最後まで取り終わったかと思ったら、最初草取りした所にはもう次の草が…という状態。」だったそう。
最初この庭を見た時、樹の上部が枯れていたり、木々がう黄化して育ちの悪い印象を持ちました。リガーデンの為、木々を掘り上げてみるとその原因が判明しました。地盤の固さが尋常ではないのです。
事実、既存の植木からはほとんど健全な根が出ておらず、樹の生育を支える大事な底根は傷んで枯腐いる状態でした。これでは木々が元気に育つはずもなく、この強固な地盤を深くほぐして、地中に健全な木の根が張れる環境づくりが第一の仕事となりました。
土壌改良工事に多くの時間を費やしましたが、風にそよぐ優しい雑木の風情を楽しみたいとのご要望に沿うためには避けて通れない作業でもありました。
既存の樹木も生かし、新たにモミジや常緑ヤマボウシなどを植え、また植栽スペース以外は草取りの手間が軽減する様、防草シートを施しました。木々の足元には、四季折々の花が咲き、雑木の伸びやかな枝先には新緑や紅葉で季節の変化を教えてくれるように。そんな願いを込めて、ひとつひとつの作業を丁寧に行いました。
庭に出て、その「広さ」が負担ではなく、潤いをもたらすものである様に。世界の空と風景を見てきたご主人と、お琴や陶芸を楽しみ自然の気配に優しいまなざしの奥様のこれからの暮らしが、より心地よいものになることを願ってやみません。
もちろん大事な思い入れのあるバラはリビング前の一番目立つ所に。